2008年5月12日
  • JFEスチール株式会社
  • JFEエンジニアリング株式会社

溶接施工性に優れた高能率狭開先アーク溶接技術を開発~J-STAR® Weldingを活用した狭開先溶接技術を実用化~

JFEスチール株式会社とJFEエンジニアリング株式会社は、次世代の炭酸ガス(CO2)アーク溶接(※1)技術である『J-STAR® Welding』(※2)を活用し、溶接施工能率を飛躍的に向上させることが可能な「狭開先アーク溶接技術」を開発いたしました。本技術を鋼構造物の組立溶接に適用することにより、溶接施工能率と溶接作業性が向上するため、施工コストを大幅に削減することが可能です。これまで、JFEエンジニアリングが施工している鉄骨工事での鋼管の円周溶接や角柱の角溶接などで実用化されており、本技術の効果が確認されています。

近年、鋼構造物の大型化・厚肉化に伴い、製作のための溶接に、より多くの時間が必要となり、施工コストが増加しています。溶接施工時間短縮の方策として、溶接量を少なくすることが可能な狭開先溶接技術が注目されていましたが、従来のCO2アーク溶接を用いた狭開先溶接では、溶接欠陥が発生し易いという課題があり、実用化が進んでいませんでした。

そこで、JFEスチールのオンリーワン技術『J-STAR Welding』を活用し、新しい狭開先溶接技術を開発いたしました。J-STAR Weldingを狭開先溶接に適用すると、狭い開先内においても、溶接アークが安定して開先底部に集中し、溶接部には深い溶込みが得られ、溶接スパッタの発生が著しく少ない、という特性が得られます。これらの特性を活用し、さらに、各種の開先形状における溶接施工性を検討した結果、従来のCO2アーク溶接法では施工が難しかった狭開先溶接において、溶接欠陥がなく強度靭性に優れた接合部が得られました。

本開発技術を適用し、例えば、鉄骨溶接で標準とされる「開先角度35°-開先ギャップ7mmのレ形開先溶接」(※3)を、狭開先である「開先角度25°-開先ギャップ2mmのレ形開先溶接」あるいは「開先幅5mmの平行開先溶接(I形狭開先溶接)」に変更すると、必要とされる溶接量は50~70%減少し、施工コストの大幅な削減が可能となります。また、品質に関してはJFE技研株式会社の協力を得て第3者機関の技術性能証明(※4)を取得しています。

今後、JFEスチールとJFEエンジニアリングでは、本開発技術の一層の普及を進めるとともに、更なる研究開発を通じ、鋼構造物における溶接コストの削減と溶接品質の安定確保に貢献してまいります。



(※1) 炭酸ガス(CO)アーク溶接プロセス:
  アーク溶接法の主流を占める、安価・高能率溶接技術。アークと溶融金属を大気中の窒素から保護(シールド)するため、炭酸ガス(CO)を使用。
(※2) J-STAR Welding:JFE Spray Transfer Arc Welding
  JFEスチールが開発した溶接技術(オンリーワン技術)。
ワイヤをマイナス極とする「正極性溶接」を採用し、アーク安定剤として微量のREM(※5)を添加したワイヤを用いることで、ワイヤ先端を頂点とする安定した円錐状アークを形成し、最も理想的な溶滴移行である微細スプレー移行をCO2アーク溶接で初めて実現。
特長は、以下の通り。
  1. (1) スパッタ発生量:従来の1/10に低減
  2. (2) 溶接ビード近傍のスパッタ(※6)付着:なし
  3. (3) ヒューム(※7)発生量:従来の1/2に低減
  4. (4) 溶込み深さ:従来の1.5倍に増加
  5. (5) アーク音がソフト。音圧は従来の1/2に低減。
J-STARは、JFEスチールの登録商標です。
(※3) 日本建築学会 建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事 標準仕様
(※4) (財)日本建築総合試験所における建築技術性能証明(GBRC性能証明 第07-02号を2007年5月「J-STAR溶接法による狭開先溶接接合」にて取得。
(※5) 希土類金属(rare earth metal)
(※6) アーク溶接時に飛散する微粒子がスパッタです。粒径は約1µm~数mm。溶接欠陥などの原因になり品質に悪い影響を与えます。
(※7) 溶接中のアークにより金属蒸気が発生し、大気によって冷却・酸化され、微細な多数の固体粒子(煙状)となって上昇します。これが溶接ヒュームです。


本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03(3597)3166
JFEエンジニアリング(株) 総務部(広報担当) TEL 03(3217)2138