当社は、船舶バラストタンクの塗装後の塗膜劣化を抑制する新しい高耐食性厚鋼板(商品名:JFE-SIPTM-BT)(注1)を世界で初めて開発しました。本年夏、ユニバーサル造船(株)にて竣工予定の30万重量トン級の超大型鉱石専用船において、バラストタンクの上甲板と上甲板ロンジに試験適用します。
船舶が空荷状態で航行するときには、船体の安定のために、海水をバラストタンクに搭載します。このためバラストタンクには海水による腐食に耐える様、重防食塗装が施されていますが、塗膜には経年劣化(塗膜の膨れや剥がれ)を生じます。特に、バラストタンクの上甲板裏では太陽からの熱と、海水の飛沫により、厳しい腐食環境となり、塗膜劣化を生じた部分では、鋼材の腐食速度が0.5mm/年にも達する大きな腐食減耗を生じます。そのため、補修再塗装を必要とすることが多く、その費用は多大になるという問題があります。また、補修再塗装には足場が必要ですが、場所によっては足場が組みにくく、再塗装が難しい場合もあります。
当社では、塗装鋼材の塗膜劣化を抑制する元素を発見し、本耐食鋼を開発しました。本鋼板は、腐食生成物による鋼材の保護性向上作用などによる鋼材の腐食性低減により、塗膜膨れや剥がれなどの塗膜劣化速度を、従来鋼の1/2程度とします。塗膜劣化を抑制し、塗装寿命を延長する鋼板の開発は、造船分野では世界で初めてです。
IMO(国際海事機関)では、塗装寿命を15年(注2)に設定していますが、本耐食鋼を適用することにより、1回の塗装による塗装寿命を船舶設計寿命である25年まで延長することが期待できます。塗装寿命延長により、ライフサイクルコスト低減、船体の安全性向上、さらにCO2削減に貢献できます。なお、本耐食鋼は溶接や加工に関して、従来の鋼材と同等の施工性を有しており、建造に際して特別な施工管理は不要です。
バラストタンクは、ほぼすべての船種に搭載されており、さらに、最近の船舶大型化に伴い、当耐食鋼の適用範囲は拡大しています。今回の試験適用により、その優れた塗装耐食性を確認し、本格適用に繋げていく予定です。
JFEは、今後も高機能・高品質な鋼材の供給を通じ、船舶の更なる経済性、安全性、信頼性向上に努めるとともに、地球環境の保全に貢献し、お客様や社会の多様なニーズに対し積極的に応えてまいります。
(ご参考)
図1 バラストタンクの配置例
図2 新耐食鋼の塗膜保護性能本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03(3597)3166