2008年2月20日
  • JFEスチール株式会社

大型コンテナ船用大入熱溶接用鋼板累計生産量10万トン突破

鋼構造物の製作においては、コストの縮減、特に溶接組立における高効率化は必須の命題であり、大入熱溶接が幅広く適用されて参りました。他方、鋼構造物の安全性向上の点から溶接継手部靭性(注1)管理の厳格化ニーズが強く、大入熱溶接による溶接継手部靭性の劣化を克服する技術が強く求められておりました。このような社会的ニーズを背景に、当社では大入熱溶接熱影響部靭性向上技術JFE EWEL(注2)を2003年に開発いたしました。
 当社は、JFE EWELの開発後から、積極的に造船、建築等向けの大入熱溶接用鋼に適用して参りました結果、2007年にコンテナ船用大入熱溶接用鋼が累計生産量で10万トンを突破いたしました。

JFE EWELは、世界最高速の冷却速度を有する高精度水冷装置“Super-OLAC”(注3)の活用を基本に(1)熱影響部粗粒化抑制技術、(2)熱影響部粒内組織制御技術(3)熱影響部地組織靭性向上技術、の組み合わせによる大入熱溶接部靭性向上技術です。この技術を適用して造船、建築等の各分野に応じた大入熱溶接用鋼を開発・実用化しております。
 近年、海上輸送量の増大により、輸送効率化のためコンテナ船の大型化が進行し、ハッチサイドコーミング(注4)等に用いられる鋼材には、高強度・厚肉化のニーズが強まっていました。このような厚肉鋼板の溶接においては、従来の多層溶接では施工能率が著しく低下するため、高能率のエレクトロガス溶接(EGW)が適用されます。この際の溶接入熱は、50kJ/mmにも達し、溶接熱影響部の靭性向上が課題でしたが、JFE EWELの開発により、この分野での、降伏強度390MPa、板厚60mmの大入熱溶接用鋼板の使用が可能となりました。さらに、EWEL技術の適用拡大により、降伏強度390MPa、最大板厚80mmまでの厚鋼板に高能率の大入熱溶接の適用が可能となり、大型コンテナ船の施工効率と安全性向上への寄与を評価いただき、累計生産量10万トンに至りました。

なお、当社では、コンテナ船の一層の大型化に対応するためにEWEL技術を活用し、降伏強度460MP級鋼もすでに財団法人日本海事協会より船級承認を取得しております。また、JFE EWELは、第27回 日本金属学会 技術開発賞(2004年)を受賞しています。
 JFEスチールは今後とも船舶の安全性向上と施工合理化に貢献する鋼板を開発・供給して参ります。

(注1)靱性
 材料の粘り強さ。材料の中で亀裂が発生しにくく、かつ伝播しにくい性質。
(注2)JFE EWEL
 鋼構造物の溶接組立を効率的に行うために施す大入熱溶接の、継手熱影響部の靱性劣化を抑制する技術。
JFE EWELの技術
(注3)Super-OLAC
 理論限界相当の高冷却速度、高精度冷却機能を有するオンライン加速冷却設備。JFEスチールのナンバーワン先端技術であり、三つの厚板工場全てに導入済。
平成14年度 大河内記念会技術賞、岩谷直冶記念賞を受賞。

Super-OLAC設備外観
Super-OLAC設備外観

(注4)ハッチサイドコーミング

大型コンテナ船の横断面(一例)
大型コンテナ船の横断面(一例)

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JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03(3597)3166