当社は、建設機械用の超高強度厚板ハイテン「JFE-HYD1100LE」(注1)を開発し、この度サンプル出荷を開始いたしました。耐遅れ破壊特性に優れ、当該強度レベルでは世界で初めてオンラインにて製造する鋼材です。当社は、世界に先駆けて厚板オンライン熱処理設備「HOP」(注2)を独自開発し、ハイテン材やラインパイプ材等の高級鋼生産に適用してまいりましたが、「JFE-HYD1100LE」は、HOP設備の導入により誕生した新商品です。
「JFE-HYD1100LE」は、降伏強度1100MPa以上、引張強度1180MPa以上の超高強度厚板で、-40℃における低温靭性を保証するものです。さらに、超高強度鋼の実用化、安全性の向上に当たって重要な要素となる耐遅れ破壊特性(注3)に優れるなどの革新的な特長を有しております。
鉄鋼材料は、高強度化に伴って、一般的に、靭性や耐遅れ破壊特性が劣化する傾向を示します。「JFE-HYD1100LE」は、
| ① | 圧延および冷却条件を工夫し、加工硬化状態のオーステナイト(注4)から焼入れて、マルテンサイト変態(注5)させることによって得られるオースフォーム効果(注6) |
| ② | HOP適用による急速加熱焼戻し技術 |
等の最先端の組織制御技術を組み合わせることによって、組織およびセメンタイト(注7)の微細化を極限まで追求し、優れた低温靭性および耐遅れ破壊特性を確保いたしました。また、これらの技術の適用は、鋼材の強度・靭性バランスの向上をもたらすため、低合金成分設計が可能となり、従来鋼よりも優れた溶接性を兼備しております。
建設機械分野では、部材の高強度化および軽量化が強く要望されています。当社はすでに引張強度780MPa級の「JFE-HITEN780LE」(注8)、さらに降伏強度960MPa級の「JFE-HYD960LE」を開発・実用化し、これらのHOP適用建機用ハイテンの累計生産量は、既に10万トンに達しました。更に今回、降伏強度1100MPa級の超高強度厚板をラインナップに加えることで、これまで以上にお客様のご要望に幅広くお応えしてまいります。
| (注1) | HYD:High Yield Strength Steel、 LE:Leading-Edge(最先端) |
| (注2) | HOP:Heat-treatment On-line Process 厚板の圧延ライン上で連続熱処理を可能にした世界初のプロセス |
| (注3) | 遅れ破壊:荷重が負荷されてからある時間経過後に突然破壊を生じる、水素に起因する破壊現象 |
| (注4) | オーステナイト:炭素鋼において、高温で存在する鋼の相名称のひとつ |
| (注5) | マルテンサイト変態:鋼をオーステナイト状態から焼入れ、硬い低温変態組織であるマルテンサイトに変化させること |
| (注6) | オースフォーム効果:加工硬化状態のオーステナイトから焼入れてマルテンサイト変態させることによって、高強度・高靭性が得られる効果 |
| (注7) | セメンタイト:Fe3Cで示される炭化鉄の名称 |
| (注8) | 「JFE-HITEN780LE」:第28回日本金属学会技術開発賞受賞=「HOP(Heat-treatment On-line Process)を用いた炭化物自在制御技術による高強度・高靭性厚鋼板の開発」 |
図1 HOPのレイアウト
図2 調質鋼の熱処理プロセス
図3 オースフォームおよびHOP急速加熱焼戻しの適用によるセメンタイト微細化
図4 オースフォームおよびHOP急速加熱焼戻しの適用による耐遅れ破壊特性の向上| グレード | 板厚 (mm) |
C | Si | Mn | P | S | Cr | Mo | V | B | CeqLR* |
| HYD1100LE | 32.0 | 0.17 | 0.41 | 1.06 | 0.007 | 0.000 | Added | 0.59 | |||
| グレード | 板厚 (mm) |
引張特性 | ||||
| 試験片 | 試験片 採取方向 |
降伏強さ (MPa) |
引張強さ (MPa) |
伸び (%) |
||
| HYD1100LE | 32.0 | JIS5号 | 横方向 | 1173 | 1277 | 23 |
| グレード | 板厚 (mm) |
シャルピー衝撃特性 | |||
| 試験片 | 試験片 採取方向 |
試験温度 (℃) |
吸収エネルギー** (J) |
||
| HYD1100LE | 32.0 | Vノッチ | 横方向 | -40 | 42 |
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JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03(3597)3166