2008年1月25日
  • JFEスチール株式会社

ティッセン・クルップ・スチール社と高張力熱延鋼板を共同開発
~伸びを従来比40%向上した自動車骨格部品用ハイテンをグローバルに供給~

JFEスチール株式会社(社長:馬田一)と独ティッセン・クルップ・スチール社(会長:カール・ウルリッヒ・ケーラー、以下“TKS社”)は、このたび、共同で自動車用の新しい複合組織型高張力熱延鋼板を開発しました。新たに開発された高張力鋼板(ハイテン)は、引張強さ(TS)が780MPa級で、当社の析出強化型ハイテン780MPa級NANOハイテンTM(*1)とTKS社の800MPa級複合組織型ハイテンCPW-800の技術を融合させ、成形性の指標である伸びを従来比40%向上させることに成功しました。実際の部品を模擬した成形試験でも伸びを向上させた開発材の優位性が確認されており、今後、自動車骨格部品などでの採用が期待されます。また、特許も共同出願済みです。

当社とTKS社は、顧客である自動車会社に対し高級鋼材をグローバルに供給するため、2002年より主に自動車用鋼板およびそれに関連した研究開発に関する包括提携を結んでいます。これまでに自動車用ハイテンの規格共通化などの成果をあげるとともに、当社のNANOハイテンTM(析出強化型)とTKS社のCPハイテン(複合組織強化型)のクロスライセンスを締結し、相互に相手方の代表的な熱延ハイテンが製造できる体制を構築しました。

新開発の780MPa級ハイテンは、残留オーステナイト相(*2)を含むベイナイト相(*3)とナノメーターサイズの析出物で強化されたフェライト相(*4)の3相から構成されています。成形が進んだ部分では、優先的にオーステナイトが硬質なマルテンサイトに変態し、ネッキング(*5)を抑制するため、優れた強度・延性バランスを示します。このような特性となる組織を得るため、当社とTKS社の研究者は、新たな合金設計を行うとともに、熱間圧延時および冷却時の温度精度を向上させました。

今回共同開発した780MPa級ハイテンは、今後日本と欧州での量産の検討を行い、耐衝突用の自動車骨格部品や伸びが必要な足回り部品などでの採用を目指します。

当社は、今後もこのようなハイテンの共同開発を通じ、さらなるハイテン化のニーズに応えるべく今後も努力してまいります。

【ティッセン・クルップ・スチール社の概要】

所在地 ドイツ連邦共和国デュイスブルグ市
粗鋼生産 約1,450万トン(2006/2007年度)
主要製品 表面処理鋼板、缶用鋼板、冷延鋼板、熱延鋼板ほか
売上高 132億ユーロ(2006/2007年度)

 

(*1)780MPa 級NANO ハイテンTM
NANO は、New Application of Nano Obstacles for dislocation movement の略。
ナノメートルサイズの析出物の活用技術が高く評価され、2007年度全国発明表彰にて21 世紀発明奨励賞を受賞。
※ 「NANO ハイテン」は、日本において、JFEスチールが所有する登録商標です。
(*2)残留オーステナイト相:
本来高温で安定に存在するオーステナイト相が室温に冷却する過程で残存したもの。室温では不安定なため、加工により安定なマルテンサイト相に変態する傾向がある。
(*3)ベイナイト相:
フェライト相の中に微細なセメンタイト(鉄の炭化物)が分散した相で、一般に軟質なフェライト相と超硬質なマルテンサイト相の中間的な硬さを有する。
(*4)フェライト相:
室温で安定に存在する、純鉄に近い軟質相。
(*5)ネッキング:
加工によって局部的にくびれたり板厚が薄くなった部分。

 

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール株式会社 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166