2008年1月8日
  • JFEスチール株式会社

第34回(平成19年度)岩谷直治記念賞を受賞
~局部座屈性能に優れたパイプライン向けUOE鋼管の開発~

当社の専務執行役員・スチール研究所長影近博を代表とする研究グループが、局部座屈性能(注1)に優れたラインパイプ用UOE鋼管の開発・実用化の功績により、第34回(平成19年度)岩谷直治記念賞を受賞いたしました。同賞は、わが国高圧ガス関係諸事業の発展に尽力した岩谷直治氏の業績を記念し、エネルギー、環境の分野で優れた技術を開発し、かつ産業上の貢献が認められる業績を顕彰して、斯界の発展と国民生活の向上に寄与することを目的に毎年2件以内の技術に与えられるものです(審査委員長・濱川圭弘立命館大学総長顧問・教授)。

エネルギー消費量が世界的に増大するなかで、CO2排出量の抑制が可能な天然ガス利用が推進されています。多量の天然ガスを安全かつ安価に輸送することが求められていますが、長距離輸送を担うパイプラインは、地震地帯や凍土地帯など過酷な環境に敷設されることが多くなっています。このパイプラインに高強度鋼管を使用する場合、地震地帯における断層の活動や地盤の液状化、また凍土地帯では地盤の凍結により、パイプラインの大変形と局部座屈防止が、安全性を確保する上で大きな課題となっていました。
 JFEグループは、鋼管の肉厚を増加させることなく局部座屈性能を向上させ、安全性の確保と低コストを両立させる高強度ラインパイプを開発しました。今回の受賞は、JFEグループの共通基盤技術の研究開発を担うJFE技研が有するパイプラインの耐震設計技術や鋼管の性能設計技術と、JFEスチールの材料設計技術と製造技術を組み合わせた、単に材料を提供するばかりではない、先進の総合技術が評価されたものです。

JFEスチールは、これまでも、国内外の天然ガス輸送用ラインパイプの開発において先導的な役割をはたして参りました。X80, X100(注2)のような高強度鋼管を日本ミルとして初めて実用化し、X80の実績は世界のトップクラス、X100についても世界で唯一商業生産の実績を有しております。また、硫化水素などが存在する環境で使用される耐サワー鋼管や、海底管に使用される厚肉の高靭性鋼管等厳しい使用環境でのラインパイプの開発を進めており、UOE鋼管をはじめとするラインパイプ用鋼管の開発で、世界をリードしてまいりました。これらの鋼管の製造は、不純物や介在物の少ない高品位の鋼を生産する精錬技術、連続鋳造時に鋼の中心部の特性を改善する軽圧下技術などの製鋼技術、また、厚板の最新鋭の加工熱処理とりわけ高冷速加速冷却(Super-OLAC(注3))およびオンライン熱処理(HOP(注4))による高強度鋼の高性能安定製造技術に支えられています。

JFEグループは、先進の総合技術によって、エネルギーの安定供給と炭酸ガスの削減に今後も貢献してまいります。

 

写真1.敷設中のパイプライン
写真1.敷設中のパイプライン

写真2.鋼管の座屈
写真2.鋼管の座屈

 

(注1)局部座屈性能:
鋼管が軸方向に大きな力を受けたり、曲げを受けたときに生じる局部的なしわ状の変形に対する抵抗。
(注2)X80, X100:
アメリカ石油協会のラインパイプ規格5Lに規定される材料。下限降伏応力が555MPa、690MPaの高強度材料。
(注3)Super-OLAC(On Line Accelerated Cooling):
理論限界相当の高冷却速度、高精度冷却機能を有するオンライン加速冷却設備。JFEスチールのナンバーワン先端技術であり、JFEの三つの厚板工場全てに導入済。平成14年度 大河内記念技術賞、岩谷直冶記念賞を受賞。
(注4)HOP(Heat-treatment On-line Process):
厚板の圧延ライン上で連続熱処理を可能にした世界初のプロセス。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール株式会社 総務部広報室 TEL 03 (3597) 3166