当社ステンレス鋼の主力商品であるニッケルフリー・モリブデンフリー高耐食フェライト系ステンレス鋼『JFE443CT』(21%クロム-0.4%銅-微量チタン添加)は、高価な原料であるニッケルやモリブデンを添加せずにSUS304(18%クロム-8%ニッケル)と同等の耐食性を有する、コストパフォーマンスの高いフェライト系ステンレス鋼です。『JFE443CT』は、そのコストパフォーマンスの高さから、発売開始以来お客様に大変ご好評を頂いており、現時点での販売量は6,000トン/月に達しています。
これまで『JFE443CT』は、一部の用途で、(1)「リジング」と呼ばれる成型加工時に発生する「しわ」の低減、および(2)SUS304の2B仕上げ(*1)との色調差の低減が求められていました。
当社は、工程条件を見直すことにより、「リジング」を大幅に低減することに成功いたしました。リジングの低減により、成形加工後に研磨仕上げを行う鍋や器物などの用途では、研磨の負荷が大幅に軽減されます。10月以降販売する『JFE443CT』全量に対し、リジング低減技術を適用しました。
さらに当社は、『JFE443CT』に対して、SUS304の2B仕上げの表面に近い白い色調の2B仕上げ『2BW』の開発に成功いたしました。これにより、建材や産業機械分野などの『JFE443CT』とSUS304の2Bを並べて使用する用途では、鋼種による色調差が大幅に低減されます。
これらの『JFE443CT』の品質改善により、より一層お客様満足度を向上させてまいります。
リジングの低減
リジングは、鋼板の加工において発生する特定方向(圧延方向)に沿った筋状の凹凸(しわ)で、フェライト系ステンレス鋼に特有の現象です。リジングが発生する場合には、通常は母板を厚くするなどして低減させますが、クロム含有量が多くなると母板が厚くできないなどの点からその低減が難しくなります。
これに対し当社では、成形性向上技術の粋を結集し工程条件を見直すことにより、リジングを大幅に低減しました。具体的には、リジングの程度は20%引張り加工後のうねり高さ(*2)で評価しますが、従来の『JFE443CT』のうねり高さに対して約70%低減という、これまで高クロムフェライト系ステンレス鋼では達成し得なかった非常に高いレベルのリジング抑制に成功しました。
白い色調の2B仕上げ『2BW』の開発
『JFE443CT』の2B仕上げの色調は、SUS304のBA仕上げ(*3)に近い、黒光りする、光沢のある仕上げであるため、色調が白いSUS304 2B仕上げと色調の差が大きくなっていました。
このため、SUS304 2Bから置換する場合、色調差への懸念から、よりSUS304 2B風に仕上げた表面の『JFE443CT』を求められることがありました。
そこで、当社は、製造条件を見直すことにより、『JFE443CT』の2Bの色調をSUS304 2Bと同等に白くすることに成功し、 『2BW』という新たな名称の表面仕上げの『JFE443CT』を開発しました。
【注】
| (1)2B仕上げ | : | JIS規格に規定されている仕上げで、冷間圧延-大気開放下での熱処理- 酸洗処理-調質圧延(スキンパス圧延)を行った仕上げ。 |
| (2)うねり高さ | : | JISに規定されている測定値。 |
| (3)BA仕上げ | : | JIS規格に規定されている仕上げで、冷間圧延-還元性雰囲気での熱処理- 調質圧延(スキンパス圧延)を行った仕上げ。2B仕上げに対し、熱処理による酸化スケールの生成がなく酸洗処理を行わないので、圧延により得られた光沢を維持したまま製品としているので光沢が良い。 |
写真 従来のJFE443CT、リジング低減後のJFE443CT、SUS304の20%引張り後の試験片外観比較
図 JFE443CTの2BW、2B仕上げおよびSUS304 2B、BA仕上げの色調比較以 上
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