2007年9月13日
  • JFEスチール株式会社

高加工性1180MPa級冷延ハイテンの量産開始
~ドアインパクトビームの衝突強度向上とコスト低減に寄与~

自動車用ハイテンの総合メーカーである当社は、JFE-CALプロセス独自のウォーター・クエンチ(Water Quench、WQ)(*1)方式を活用して超高張力冷延ハイテンを開発し、「WQウルトラハイテン」シリーズ(*2)として販売しています。同シリーズのうち昨年開発した高加工性1180MPa級高強度冷延ハイテンが、マツダ株式会社のコンパクトカー「デミオ」(本年7月より発売)のリアドアインパクトビーム(*3)用として初めて採用されました。プレス加工成形によるフランジ一体型のドアインパクトビームに1180MPa級冷延ハイテン材を適用したのは、世界で初めてです。なお、実用化は、マツダ株式会社および株式会社ヒロテックと共同で行いました。

一般に、1180MPa級ハイテンは、ロール成形などの曲げ加工を主体とした成形によりバンパーや補強部品等に使用されていますが、キャビン周りの構造骨格部品への適用に際しては、より高度なプレス加工成形が必要となるため、絞り成形性の向上が課題でした。また、従来のドアインパクトビーム部品はプレス加工が困難であることから、加工後熱処理を行うか、ホットプレス法(*4)で製造されていましたが、いずれも生産性が低く、コスト増となっていました。

そこで当社は、独自のWQ方式連続焼鈍プロセス(JFE-CAL)を活用した金属組織制御により、一般の980MPa級ハイテンと同等の延性を有する鋼板を開発し、良好なプレス成形性を実現しました。「デミオ」のドアインパクトビームは、1180MPa級高強度冷延ハイテンの高い延性を活用し、深い絞り形状とすることで、プレス成形時の加工ひずみによる高い加工硬化と、塗装焼付けによる大幅な強度上昇により、冷間プレスながらホットプレス部品と同等の衝撃吸収性能を達成し、プレス加工の生産性も大幅に向上させました。さらに、1180MPa級高強度冷延ハイテンはWQ方式の特長である低炭素当量設計により、耐遅れ破壊特性(*5)および溶接性にも優れています。

当社は、今後も、自動車シート部品をはじめとして、ボディー部品などについても、更なる高性能な材料の開発を進め、あらゆるユーザーニーズに応えてまいります。



【注】

(1)ウォーター・クエンチ(Water Quench、WQ):
水焼入れ
(2)「WQウルトラハイテン」シリーズ:
780~1310MPa級WQハイテンの総称。JFEスチール独自の連続焼鈍WQプロセスを適用して製造。耐衝突自動車構造、骨格部材のハイテン化に寄与します。
(3)ドアインパクトビーム:
自動車のドア内部に装着される側面衝突時に乗員を保護するための強度部材。
(4)ホットプレス法:
鋼板を高温に加熱して、プレス加工することで、成形と焼入れ硬化を同時に行う工法。
(5)耐遅れ破壊特性:
水素に起因するプレス成形後の静的な脆性割れへの抵抗特性

参考図面

デミオ用プレス品(部品名:リアドアインパクトビーム)
デミオ用プレス品(部品名:リアドアインパクトビーム)

以 上

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JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03(3597)3166