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当社は、超微細オーステナイト組織(γ組織)を安定的に生成する技術を確立することにより、世界で初めて2〜3μmまで鋼の結晶組織を微細化した高強度棒鋼「Fine γ」の商品化に成功致しました。
一般に、鋼材は900℃以上の高温のオーステナイト組織を急冷して焼き入れをおこなうことによりマルテンサイトと言う硬い組織を作ることができます。一方、鋼材の疲労強度は硬さに比例して向上しますが、ある硬さを超えると強度の向上が発現しなくなります。これは、鋼材の結晶粒界で破壊が起こり始めるためです(図1)。
高硬度下での結晶粒界破壊を防ぐためにはオーステナイト結晶粒の微細化による結晶粒界強度の向上が有効であることが知られていましたが(図2)、安定的に量産することは困難でした。
当社ではお客様における熱処理工程にも着目し、そのプロセス開発と新たな成分設計とを組み合わせることにより、超微細オーステナイト結晶粒の安定的な生成を実現しました。お客様における焼入れでの超微細組織化により、超高強度鋼の製造を可能とするものです。尚、今回新たに開発したオーステナイト粒径評価エッチング技術(ガンマR)もこれに寄与いたしました(図3)(写真1)(写真2)。経営統合後に発足した棒鋼・線材研究部が中心となって開発を推進してきた成果です。
通常のJIS S53Cの粒径は20μm程度ですが、「Fine γ」では2〜3μmまで微細化します。この結果、疲労強度が15〜30%向上します(図4)。軟窒化熱処理を施した高強度材をも大きく上回るものです(図5)。このため、自動車の動力伝達部品(クランクシャフト、等速ジョイント、ミッションシャフトなど)の小型化が可能となり、これらの部品を格納するエンジンやトランスミッションなどのユニットも小型化が実現します。当社の試算では、一台あたり約45kgの車両重量低減および160 C-kgのCO2削減効果(注1)が期待できます。地球温暖化の防止/低減効果をもたらすエコマテリアルとして販売に注力してまいります。
尚、「Fine γ」の引張り強度は、2500MPaに達する測定データが得られており、この観点からの用途開発も進めてまいります。
(注1)CO2削減効果は10万km走行時の値です
| 強度は硬さに比例して向上しますが、ある限度からは粒界破壊することにより強度の向上が発現しなくなります。 |
| 結晶粒の微細化により、粒界への応力集中を緩和し、粒界への不純物元素の粒界偏析濃度低減の効果により、粒界破壊応力が向上します。 |
鋼材の微細化技術は従来、フェライト組織の微細化を基本としていました。主に鋼板に適用され800MPa程度までの高強度化が可能でした。
「Fine γ」は焼入れ時のオーステナイト結晶粒を超微細化します。常温ではマルテンサイト組織に変化しますが、高温時に形成されたオーステナイト結晶粒は微細状態を維持し2500MPaの高強度をもたらします。 |
写真1 従来の微細化技術によるフェライト(α)とFine γとの組織差異
| a : |
Fine γの金属組織写真。
ガンマRエッチングにより
旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させました。
平均粒径2〜3μm です。
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| b : |
通常炭素鋼(JIS S53C)の金属組織写真。
旧オーステナイト(γ)結晶粒径は20μm程度です。 |
| c : |
従来のエッチングでFine γの旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させました。
微細粒の現出は困難でした。 |
| d : |
従来のエッチングで通常炭素鋼(JIS S53C)旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させました。
通常炭素鋼(JIS S53C)においても旧オーステナイト(γ)粒の現出は困難でした。 |
図4 回転曲げ疲労試験における比較
(一般の焼入材とFine γ)
図5 回転曲げ疲労試験における比較
(軟窒化熱処理材とFine γ)
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