|
川鉄鉱業株式会社は、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN-PT)の大口径(直径80mmf)単結晶の量産技術を確立いたしました。PMN-PTは、リラクサー(*1)であるマグネシウムニオブ酸鉛(PMN)と圧電体であるチタン酸鉛(PT)の固溶体単結晶で、圧電材料(*2)として従来主流で使われてきたジルコンチタン酸鉛(PZT)セラミックスと比べて、圧電歪み(*3)が3倍以上と高性能のリラクサー系圧電単結晶材料です。
| PMN-PTは、従来の圧電材料の主流であるジルコンチタン酸鉛(PZT)セラミックスに比べ、3倍以上の圧電歪み(d33)が得られ、且つ電気機械結合係数も大きく、優れた圧電特性を示します。そのためPMN-PTは、従来のPZTセラミックスに比べ、 |
| (1) |
医療や非破壊検査、魚探等の超音波振動子で、より鮮明な画像が得られる、 |
| (2) |
洗浄機などの超音波振動子で、より強力な発振が可能、 |
| (3) |
プリンタヘッド・HDDヘッドの位置決め装置、手ブレ防止装置等の高精度制御用アクチュエータなどで、より応答性に優れ且つ小型化が可能、 |
| になるなど、高付加価値の圧電用途への展開が可能です。 |
このような優れた特長を持つPMN-PTは、国内はじめ海外(米国、中国、韓国など)でも開発が進められていますが(注1)、80mmfの大口径単結晶で安価な量産可能体制を確立したのは当社が初めてです。なお、当社は昨年秋から、PMN-PT単結晶のサンプルの供給を開始しています(注2)。
また当社は、同じリラクサーとして亜鉛ニオブ酸チタン酸鉛(PZN-PT)固溶体単結晶を販売していますが、PMN-PTは、PZN-PTに比べ3倍以上の成長速度で結晶を育成することが可能で、安価で供給出来る可能性があります。そのため、需要家は、求める特性やコストパフォーマンスに応じて、PZN-PTとPMN-PTから適した材料を選択することが可能となります。
【注1】
当社は、5月11日から13日まで米国ペンシルバニア州立大学で開催される、US Navy Workshop on Acoustic
Transduction Materials and Devices において、PMN-PTの開発に関する発表を行う予定です。同ワークショップのWebサイトは、以下のとおりです。
http://www.mri.psu.edu/conference/usnavy/
の PRELIMINARY AGENDA参照。
【注2】
当社のホームページ(http://www.kawako.kawatetsu.ne.jp)の機能素材商品欄上で、PMN-PT単結晶を紹介しています。
【用語】
| (*1) |
リラクサー
PZN(亜鉛ニオブ酸鉛)やPMN(マグネシウムニオブ酸鉛)などをいう。散漫な(relaxした)相転移をおこすため、誘電体としてのキュリー温度が測定周波数により変動する。 |
| |
キュリー温度
一般に、分極が消失する臨界温度を言う。強誘電体結晶は、高温では自発分極をもたないが、温度が下がると、結晶相転移を起こし、自発分極が発生する。この相転移温度をキュリー点と言う。 |
| |
結晶相転移
温度、圧力などの要因で結晶の晶系が変化する現象。圧電単結晶の場合は、常圧下で高温では立方晶、キュリー温度以下で正方晶に変化する。更に低温では正方晶から擬立方晶に変化する。 |
| (*2) |
圧電材料
結晶表面に応力を加えると結晶表面に正負の電荷を発生する性質をもつ物質。
力学的エネルギーと機械的エネルギーを変換できるので、電気的信号を機械的変位に変換するアクチュエータや、超音波受発信素子、応力を電気信号に変換する変位センサー、ジャイロ素子などに利用される。従来の主流の材料としてジルコニウム、チタン、鉛を主成分とするジルコンチタン酸鉛(PZT)焼結体セラミックスがある。 |
| |
焼結体
粉末原料を成型し高温で焼き固めた材料。細かな単結晶粒子からなる多結晶材料でセラミックスは、この焼結体からなる。 |
| (*3) |
圧電歪み
分極処理した圧電体に電界(V/m)を負荷した場合に、発生する歪み。
アクチュエータの動作原理。 |
| |
圧電d定数、 d33
分極処理した圧電体に電界(V/m)を負荷した場合に、どれだけ変位するかを表す係数。通常単位は、pm/V(ピコメーター パー ボルト)又はpC/N(ピコクーロン パー ニュートン)で表される。
分極方向を通常3の方向で表す。(分極方向と直交する2つの独立な方向を1,2と表す。)d33とは、分極方向と平行な方向の圧電d定数である。 |
| |
分極
圧電体材料に直流高電界を負荷し、電気双極子の向きを揃えて、圧電活性を与えるプロセス。 |
【ご参考】 川鉄鉱業株式会社 会社概要
1. 社 名:川鉄鉱業株式会社
2. 所在地:東京都台東区蔵前二丁目17番4号 電話:03−5823−5311(代)
3. 社 長:藤森寛敏
4. 資本金:1,438百万円(2003年3月期)
5. 業 績:30,330百万円(2003年3月期)
6. 事業概要:鉱山技業、資源リサイクル事業、機能素材事業
7. トピックス:7月1日付けで鋼管鉱業株式会社と経営統合し、JFEミネラル
株式会社設立予定。
|