| 当社はこのたび、合金鋼粉(※1)の新たなラインナップとして、高温焼結を施さなくても高い面圧疲労強度(※2)を有する焼結部品を製造できる、新しい合金鋼粉を開発いたしました。
自動車の軽量化、高性能化に伴い、焼結部品は駆動系やエンジン系の部品として、高接触面圧下等のより過酷な条件下で使用されることが多くなっており、これらの部品には高い面圧疲労強度が求められています。焼結部品の面圧疲労強度は空孔の存在により低くなるため、高い面圧疲労強度を得るには、高温で合金鋼粉の焼結プロセスを促進し、より緻密な焼結体を得る必要があります。このため、従来から焼結部品メーカーでは特殊な高温焼結炉(※3)を使った製造が行われていますが、加熱のための燃料費高や、汎用焼結炉(※4)に比べて低い生産性に起因するコストアップ要因の克服が大きな課題となってきました。
当社は合金成分量およびその添加方法を最適化することにより、汎用焼結炉の比較的に低い温度でも焼結が促進し、高面圧疲労強度に寄与する空孔の微細化を図ることができる新しい合金鋼粉を開発いたしました。
新合金鋼粉は、圧粉密度7.3Mg/m3に成形した後、汎用の焼結条件(焼結温度1,130℃)で焼結し、浸炭熱処理(※5)を施した場合で、3.5GPaの面圧疲労強度が得られるなど、従来の合金鋼粉の高温焼結・浸炭材と同等以上の面圧疲労強度を発現します。(従来の合金鋼粉の面圧疲労強度は、焼結温度1,130℃で2.4GPa、焼結温度1,250℃でも3.4GPa)
当社の新合金鋼粉は、焼結部品メーカーにおける高温での焼結を不要とし燃料費を削減できるという利点だけではなく、生産性の高い汎用焼結炉の使用を可能とすることから、高面圧疲労強度を持つ焼結部品の製造効率を向上できます。また、汎用焼結炉でも面圧疲労強度の高い焼結部品が製造可能となることで、当該焼結部品の更なる普及に寄与することも期待されます。
当社は、高面圧疲労強度の要求される、可変バルブタイミング機構やミッション関連部品などの自動車部品製造用途を中心に、本年4月から本商品の販売活動を開始いたしました。販売数量については、初年度200トン、将来的には500トンを見込んでいます。
| (※1) |
合金鋼粉:焼結部品の強度を上げるために、Ni、Mo、Cuなどの合金元素を含有する鉄粉 |
| (※2) |
面圧疲労強度:転がり、または転がり・滑りの圧縮応力が繰り返し負荷された場合、表面部にピッチングなどのはく離が発生しない最大応力 |
| (※3) |
高温焼結炉:トレープッシャー式が一般的(トレーに部品を並べて載せるため相対的に生産性が低い) |
| (※4) |
汎用焼結炉:メッシュベルト式が一般的(ベルトに多くの部品を載せられるので相対的に生産性が高い) |
| (※5) |
浸炭熱処理:焼結部品表面の硬さを高くするため、COやCH4(メタン)を含む雰囲気中で加熱し、鋼の表層に炭素を拡散浸透させてから焼入れる熱処理方法。 |
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| 【ご参考】(鉄粉製造能力について) |
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| 工場 : |
東日本製鉄所(千葉地区)内 |
| 能力 : |
鉄粉生産能力 年間 80,000トン程度 |
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| (内訳) |
| 還元鉄粉 |
36,000トン程度 |
| アトマイズ鉄粉 |
45,000トン程度 |
| (内、合金鋼粉 |
12,000トン程度) |
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