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【概要】
JFEスチール(株)とJFEフェライト(株)は、従来製品「MBT1」に比べてコアロス※1を15%低減したソフトフェライト※2「MBT2」の開発に成功し、量産体制を確立しました。この「MBT2」は温度による初透磁率※3の変化が小さいという特長も兼ね備えており、スイッチング電源※4、通信機器、自動車用電装品をはじめとする様々な電子機器への応用が期待されます。
本製品は、JFEグループが保有する高純度酸化鉄原料をベースにしたフェライト材料技術と、卓越した焼成技術の融合により実現されたナンバーワン製品です。
この「MBT2」の製造に関しては、磁性材料の製造・販売を行なっているJFEフェライト(株)倉敷工場において月産100万個の供給体制を確立しました。7月より量産を開始します。
【背景】
自動車用電装品や通信機器を初めとする電子機器は、0℃以下の低温から100℃を超える高温までの幅広い温度条件下で使用されています。これらの機器に使用されるソフトフェライトは、数10kHzから数MHzの周波数領域において、コアロスが小さく初透磁率が高いという優れた特徴を有しています。一方、ソフトフェライトには温度による磁気特性の変化が大きいという本質的な欠点もあり、これが機器設計の妨げとなる場合がありました。電力損失を低減し、小型で高効率な電子機器を実現するために、より広い温度範囲で磁気特性の変化が小さなソフトフェライトが望まれていました。
このようなニーズにお応えするために、当社が世界に先駆けて製品化したオンリーワン製品「MBT1」は、その優れた温度特性に対してお客様からご好評を頂いております。
【MBT2の特徴】
今回、新たに開発した「MBT2」は、従来からの製品である「MBT1」や、汎用低損失材である「MB3」※5と同じマンガン亜鉛系フェライトです。
MBT2ではMBT1の優れた温度特性を維持したまま、コアロスを15%低減しました(図1)。周波数100kHz、磁束密度0.2T(テスラ)の正弦波※6で駆動した場合のコアロスは、40℃で300kW/m3、80℃で280kW/m3、120℃で340kW/m3と、広い温度範囲で低損失を実現しているため、スイッチング電源トランスの電力損失低減に有効です。また、汎用低損失フェライトに比較すると、室温における初透磁率は1.5倍に上昇し、0〜100℃における初透磁率の温度変化は3分の1以下に抑制されているため(図2)、チョークコイル※7の小型化と特性安定化に寄与します。
「MBT2」では、化学組成を最適化し、温度による結晶磁気異方性定数※8の変化を緩和することによって、コアロスや初透磁率の温度による変化を抑制しました。さらに焼成工程における温度と酸素濃度の精密制御を通じて、平均粒径が約10マイクロメートルの結晶粒と、厚さが数ナノメートルの電気絶縁性結晶粒界※9から構成される微細構造を最適化し、低損失を実現しました。
【用途】
「MBT2」の使用例としては、環境温度に関わらず低損失特性が要求される、下記のようなスイッチング電源用トランスやチョークコイル用磁心、また安定なインダクタンス※10が要求される通信機用アンテナや電磁ノイズフィルター用磁心があげられます。電源用トランスに使用した場合には、広い温度範囲で高いインダクタンスを示すため励磁電流を低減することが可能となり、電力損失を抑制することができます。特にフォワード型のスイッチング電源※11に適した材質です。
- DC−DCコンバータ用トランス
・ フォワード型スイッチング電源向け
・ ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車用電源向け
- 一般スイッチング電源用トランスおよびチョークコイル
- 通信機用アンテナ
- デジタルオーディオアンプ用ローパスフィルター※12
- 入力ノイズフィルター
| (ご参考) |
| ※ 1 |
コアロス : 磁心により生じるエネルギー損失。 |
| ※ 2 |
ソフトフェライト : 酸化鉄と金属酸化物の化合物で電磁鋼板のような軟磁気特性を示す磁性材料。 |
| ※ 3 |
初透磁率 : 磁性体の磁化のしやすさを示す指標。 |
| ※ 4 |
スイッチング電源 : 商用電源または直流電源を入力として半導体デバイスのスイッチング(オンオフ)制御により安定化された任意の直流電圧に変換して出力するもの。スイッチング周波数は1秒当たりのオンオフの回数のこと。 |
| ※ 5 |
MB3 : 主にスイッチング電源のトランスコアに使用されることを前提にしたMnZnフェライトの材質名。 |
| ※ 6 |
正弦波 : 交流波形の一種。一般家庭で使用される交流100Vの電源波形に同じ。 |
| ※ 7 |
チョークコイル : スイッチング電源の出力電圧を平滑化するための巻線部品。 |
| ※ 8 |
結晶磁気異方性定数 : 結晶構造に起因して磁化が特定の方向を向きやすくなる性質を表す指標。 |
| ※ 9 |
電気絶縁性結晶粒界 : 結晶粒子間に存在する極めて薄い(数ナノメートル)電気絶縁層のこと。
電力損失 の一因でフェライトコア内部を流れる渦電流を遮断する効果がある。 |
| ※ 10 |
インダクタンス : コイルが持つ交流電流の流れにくさを表す指標。 |
| ※ 11 |
フォワード型スイッチング電源 : スイッチング電源回路方式の一種。 |
| ※ 12 |
ローパスフィルター : オーディオ出力信号に含まれる高周波ノイズを除去するための巻線部品。 |
以 上
| 【JFEフェライト(株)の概要(2003年6月末)】 |
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設 立 |
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1993年9月 |
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社 長 |
: |
束野耕一郎 (つかの こういちろう) |
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資本金 |
: |
13億円 (JFEケミカル株式会社100%出資) |
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本 社 |
: |
東京都台東区蔵前2−17−4 リバー蔵前ビル |
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工 場 |
: |
岡山県倉敷市 (JFEスチール 西日本製鉄所 倉敷地区内) |
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従業員数 |
: |
215名 |

図1 MBT2と従来材の100kHz、200mTにおけるコアロス(Pcv)の温度特性の比較

図2 MBT2と従来材の初透磁率(μi)の温度特性の比較
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