マリンブロック>鉄鋼スラグ大型炭酸固化体「マリンブロック」

鉄鋼製造の過程から副生する鉄鋼スラグの有効な活用とリサイクルが望まれています。
しかし、CaO分が残存するため、膨張したり、アルカリ性を強めたりするので、用途が限定されていました。一方、地球温暖化問題で注目されている二酸化炭素は、鉄鋼製造プロセスからは多量に発生するため、(社)日本鉄鋼連盟ではCOP3で提示された炭酸ガス削減目標を上回る自主目標を掲げて、その対策に取り組んでおります。この2つの問題(鉄鋼スラグの資源リサイクルおよび炭酸ガス削減)を同時に解決できる技術として従来から、鉄鋼スラグの炭酸固化が知られていましたが、安定した鉄鋼スラグ炭酸固化体の製造は難かしく、現在まで事業化されていませんでした。こうした中で、JFEは独自プロセスを開発し安定した鉄鋼スラグの大型炭酸固化体(一辺1mの立方体)の製造に成功し、藻礁・漁礁用ブロック「マリンブロック」として実用化を進めています。


1.製造方法

 従来の製造方法は機械プレスで鉄鋼スラグを成形した後,成形体を燃焼排ガスなどの二酸化炭素含有雰囲気下に静置して表面から炭酸化していました。この方法では成形後の強度不足によるハンドリング時の崩壊と内部に残存する未反応部の経時変化による崩壊により,大型品は製造できませんでした。当社は鉄鋼スラグを調湿してから型枠内に充填し,型枠底部より水蒸気飽和した二酸化炭素含有ガスを均一かつ強制的に供給して,型枠内で内部まで均一に炭酸固化させる方法を開発し大型品の製造を可能にしました。

2.特徴

マリンブロックは,炭酸カルシウムにより,鉄鋼スラグ粒子間が強固に結合されており,かつ粒子表面も被覆されています。炭酸カルシウムが珊瑚の主成分であることからもわかるように,マリンブロックは海中および大気中で非常に安定で,膨張して崩壊することや,アルカリ性を強めたりすることもない人工材料です。また,強制的に二酸化炭素を吹き込んで製造するため,ほとんどが開気孔で構成される気孔率25~40%,嵩密度2.0~2.4t/m3の多孔質体です。


3.藻礁・漁礁としての評価および実証

3.1海藻着生試験

1997年11月より一辺25cmの立方体のマリンブロックを水深+0.5~-1.5mの転石のある砂泥海底に設置した予備試験では,写真1に示すようにマリンブロック周辺に特に多くシワランソウモドキが繁茂し,サザエなどの貝類も付着していました。また,マリンブロックは海中で1年半以上も元の形状を保っており,非常に安定した材料であることが確認されました。
さらに,マリンブロックを藻礁用材料として一般的な天然石(花崗岩)やコンクリートと比較する試験を実施しました。各材料を10cm×10cm×厚さ1cmの試験片として試料台に固定して,成熟期(藻長5m級)のホンダワラ類の群落間を選び,水深-2mの海底に水平に設置しました。ホンダワラ類の着生数はマリンブロックが一番多く,海藻の幼胚への影響がないことから,マリンブロックは藻礁用基質として従来材と同様に使用できることがわかりました。また,マリンブロック上のホンダワラ類は9ヶ月後には写真2のように3m以上に生長したことから,藻の付着基盤としての堅牢さも十分備えていることが確認されました。


写真1 予備試験(マリンブロック周辺,水深0m) 写真2 比較試験(マリンブロック上のホンダワラ類)

3.2 藻礁・漁礁の実証試験

藻礁・漁礁としてのマリンブロックの実用性を実証するために,1999年4月中旬にクレーン台船(写真3参照)により1m×1m×高さ0.5mのマリンブロック15個を写真4に示すようにピラミッド状にして,水深-5mの海底に設置しました。現在,海藻の植生および魚介類の蝟集状況の観察を続行中です。



写真3 沈設状況(広島県瀬戸田町)

写真4
写真4 組立状況