経営者のご挨拶

(1月4日CEOは、社内およびグループ各社にあて以下のメッセージを発信致しました)

2010年 JFEスチール社長年頭あいさつ

変化の激しい経営環境の下でも
確実に成果を上げていこう

JFEスチール 取締役社長(CEO)
馬田 一 
JFEスチール 取締役社長 馬田 一

明けましておめでとうございます。新年に当たり、ご挨拶申し上げます。

昨年は、2008年秋以降の金融危機に伴う世界的景気後退により、JFE発足以来最も経営環境の厳しい年でした。また、前半はかつてない規模の減産、後半は一転して増産と、変化の大きな年でもありました。
 このような中で、当社は、いち早く高炉を休止するなど実需に見合った生産・販売を実行するとともに、徹底的なコスト削減と高付加価値商品の拡販を推進しました。社員ならびに労働組合の皆さんにも様々な面でご協力いただき、改めて感謝いたします。
 また、昨年は、第三次中期計画初年度として、「スチール単体粗鋼3,300万t」を見据えた設備工事、安定的販売体制の構築に向けた輸出強化策など、将来の成長に向けた準備・基盤整備を推進しました。
 製造現場においては、さまざまな活動の成果により、製造実力・現場力が向上するとともに、収益改善にも寄与しました。加えて、余裕時間を活用した教育・訓練の実施により、人材育成・技能伝承にも成果を上げることが出来たと思います。
 海外事業では、広州JFE鋼板における自動車用鋼板の生産が軌道に乗り、また、新たにインドのJSW社と包括提携を締結するなど着実な成果を上げました。
 これらの取り組みの結果、JFEスチールグループは、国内の同業他社に先駆け第2四半期で黒字化を達成し、2009年度年間でも連結経常利益200億円を確保する見通しです。

本年の重要課題

さて、足下の経済環境は、最悪期を脱しつつありますが、二番底のリスクは依然大きいと考えざるを得ません。至近での経済の回復は、在庫調整の進展や各国の財政出動による効果が大きく、これらの効果の息切れにより、今後も回復傾向が持続するか予断を許さない状況です。
 我々は統合以来、右肩上がりに生産量、収益を伸ばし、近年では安定的に高収益を上げてまいりましたが、昨年は一転して大幅な減産、減益を余儀なくされました。本年は、JFEスチールグループにとって、高収益企業へ回帰する道筋を示すために、確実な成果を上げる必要があると思います。

それでは、以下に本年の重要課題について申し上げます。

一つ目の課題は、技術開発を加速することです。
 中国・韓国をはじめとしたアジアの競合相手は、設備増強により数量的なポジションを向上させているだけではなく、品質、技術面でも着実にレベルアップをしています。こうした中で、我々は、第三次中期計画で掲げた10年先を見据えた革新的技術開発のスピードアップを図る必要があり、CO2削減技術などのプロセス開発と省エネ、省資源に寄与する商品の開発に一層注力していきたいと思います。

二つ目の課題は、新たな需要の開拓を実現することです。
 今後成長が期待できる地域・分野の需要を的確に捉え、ビジネスに繋げていくことは、当社の成長のために必須です。中国、インド、東南アジアといったアジアを中心とした需要や、風力、太陽光発電などの新エネルギー関連、電気自動車などの需要を捉えて、如何に早く付加価値のある商品を投入できるかにビジネスの成否がかかっています。これらは、複数の品種にまたがるビジネスであり、組織横断的な対応が必要ですので、既存の組織、発想を超えて取り組んでいただきたいと思います。

三つ目の課題は、中国、韓国といったアジアの競合相手と同等のコスト競争力の確保です。
 当社は、従来から需給に応じたフレキシブルな生産体制によるコストミニマム操業を徹底してきましたが、先行きが不透明な中では、生産量の変化に対して更に柔軟、スピーディーに対応しなければなりません。その上で、日本ミルの中でトップのコスト競争力を維持し、また、中国、韓国といったアジアの競合相手とも同等のコスト競争力を確保することが必要です。
 従来から取り組んでいる「収益改善アクショントランスファー活動」をより深化させ、また日頃の改善活動を通じて、製造現場の皆さんのアイデア・創意工夫によりコスト削減を積み上げていただきたいと思います。
 また、原料購買においても、増減産に柔軟に対応した購買施策を実行するとともに、製造現場と一体となった安価原料の使用拡大などコスト削減に徹底的に取り組んでください。

以上のような課題対応への活動を支えていくためにも、人材の確保・育成が必要です。グローバル化に対応した人材の育成と、製造現場での世代交代に備えた技能伝承・教育に引き続き注力していきたいと考えています。

企業存立の基盤である安全、CSRに一層の注力を

次に、企業が存立するための基盤である「安全」と「CSR」に関して申し上げます。
 安全成績については、2007年、2008年と大きく改善しましたが、昨年は改善幅も小さく、足踏み状態になりました。この壁を打ち破り、更に安全で健康な職場環境を実現するために、各社・各部門で地道に作業と設備の改善を積み重ねることが大切です。「職場の全員参加による活動」で更に改善を推し進め、今年こそ「労働災害ゼロ」を達成したいと思います。
 また、CSRについては、継続的な取り組みにより活動の定着、意識の向上が図られてきたと思います。しかしながら、この活動に終わりはなく、JFEグループ全従業員の自覚を持った取り組みを続けていただきたいと思います。

労使での建設的な議論を通じ諸課題の克服を

ここで、労働組合の皆さんに一言申し上げます。
 先ほども申し上げましたとおり、我々を取り巻く経営環境は厳しく、また変化も激しくなっております。本年も、建設的な議論を交わし、スピード感をもって経営課題に対処していきたいと考えておりますので、よろしくご理解とご協力をお願い申し上げます。

慢心せず、悲観せず 常に平常心をもって

経済環境には波があり、常に好況期ばかりということはありません。現在のような減速期にも「悲観せず」、また、好況期には「慢心せず」、常に「平常心」で臨むことが重要であると思います。
  どのような時にも平常心を持ち、それぞれの立場で「どこが足りないか」を考え、設定した目標に向かって着実に努力を重ねていくことが必要です。

我々が目指すエクセレントカンパニーとは、ステークホルダーから「なくてはならない会社」と評価されること、また社員の皆さんが誇りに思える会社であること、この二つが備わっていなければなりません。ステークホルダーから評価され、皆さん全員が誇りに思える会社を目指して、今年1年共に取り組んで行きましょう。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べましたが、本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年のあいさつといたします。