2017年 JFEスチール社長年頭挨拶

2017年 JFEスチール社長年頭挨拶

JFEスチール 取締役社長 柿木 厚司
取締役社長(CEO)
柿木 厚司

明けましておめでとうございます。
新年にあたり、ご挨拶を申し上げます。

昨年を振り返りますと、英国のEU離脱が国民投票で可決され、米国ではトランプ新大統領が誕生するなど、それまでの常識的な予測を超え、地政学的に見ても世界的に大きな変化を感じさせる1年であったと思います。鉄鋼業界においても、新日鉄住金が日新製鋼の子会社化計画を発表し、宝鋼と武漢が統合し、アジアの競合他社が規模を拡大するなど大きな変化があった年でした。 一方で、中国経済の停滞に伴う世界的な鉄鋼供給過剰問題の継続に加え、足元では原料炭をはじめとする資源価格が急騰した影響で鉄鋼業は急激なコスト上昇に直面しています。さらに当社が得意としている高級鋼の分野でも、エネルギーや造船などの需要低迷のため、非常に厳しい環境となっています。こうした環境の下で、昨年2016年は、第5次中期計画の2年目として、中期計画の軸足をぶらさずに、製造実力を取り戻すための製造基盤整備に大きく経営資源を割いてきました。しかしながら、設備の安定化やコスト合理化はいまだ道半ばの状況だと思っています。

JFEの目指す姿と2017年の重点課題

このような厳しい環境においても、JFEスチールが目指す、「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長し続けるグローバルな鉄鋼サプライヤーになる」という長期的なビジョンは変わりません。そのビジョンを実現するための4つの重要施策である

①製造実力の回復と向上を果たすこと、
②コスト優位性と世界最先端の技術力を維持・向上すること、
③JFEブランドの拡大に努めること、
④永続的な成長の源泉である人材の確保・育成と技能伝承を推進することも変わりません。

しかし、公表された2016年度の決算見通しからも分かる通り、当社はグローバルサプライヤーとして劣位な収益状況にあります。この状況を克服し、再び成長への軌道を描くために、私は、今年2017年を非常に重要な年として位置付けています。2017年は5次中期に実行してきた施策の成果・効果を最大限に発揮する必要がある年です。 具体的には以下の5点が重点課題となります。 第一に、中期計画以上に経営資源を投下して補修や劣化更新を実行してきた製造基盤整備の成果を発揮し、喫緊の課題である製造の安定化の向上を継続することです。 第二に、設備投資の効果を発揮することです。2017年は中期計画で投資してきた多くの設備が立ち上がります。2016年完工の倉敷3炉・千葉6A炉に加え、今年の倉敷2炉の完工により当社の弱点であったコークス炉劣化という課題は収束に向かいます。また、昨年まではエネルギー分野や造船分野等の世界的な需要低迷の影響で、思ったように高級鋼の販売数量を伸ばせていませんでした。今年は拡販効果の見込める分野の製造能力の増強及び高級鋼拡大のための設備も続々と立ち上がってきます。その設備から産み出される新商品や高級鋼を新しい成長軌道に乗せ、拡大させていくことが重要です。こうした設備投資に伴う合理化・生産増・販売増の各面での成果を、前倒しを含めて最大限に発揮する必要があります。 第三に、足元の資源価格の高騰に伴うコストアップは、我々のコストダウンだけでは吸収しきれないため、お客様に選ばれる営業活動で築き上げてきた長期的な信頼関係に基づいて、丁寧にお客様と会話して、我々の商品・サービスの価値を認めて頂く活動を継続することです。 第四に、大幅な世代交代の中で技能継承と人材育成を推進してきましたが、IT活用などにより、次世代につながるように人的資源の質を更に向上させることです。 第五に、将来を見据えて実行してきた国内グループの再編や、建材センター・鋼管センターに代表されるようなグループ会社との連携強化の効果を最大限に発揮することです。

2017年の行動指針

これら5点の重点課題に取り組むにあたり、2016年度が設立以来、初のJFEスチール連結で赤字という緊急事態である現状を全社員が共有化した上で、2017年は次の2点を心がけて行動して欲しいと思います。 一つ目は、成果をあげるために、権限委譲を推進するとともに、チャレンジする風土を醸成し、各人がより創造的な仕事に取り組むことを加速化させることです。 二つ目は、より創造的な仕事をするために、年齢・世代・立場・部門を超えた双方向のコミュニケーションを通じて、自律的に課題解決にあたることです。 現状の難局を打開するためには、全社員が知恵と知識を結集して、スピード感を持って2017年を結果を出す年にする必要があります。全社員が一丸となって現状の難局を打開することが、JFEスチールを誰もが誇れる会社にすることにつながると考えています。

JFEスチールを家族や社会に誇れる会社にするためには、安全で健康な職場づくりは最重要課題です。昨年も重大災害が2件発生し2名の方の尊い命が失われました。誠 に残念でなりません。今年は、デュポン社のコンサルティングの仕上げの年です。新たに得られた知見、特に対話型パトロール、災害調査、安全監査の各々の内容を十分に咀嚼した上で自分のものとし、真に『自主自立』した職場をつくるように注力してください。さらに残念ながら防災事故も撲滅出来ていません。今まで以上に防災事故を防止することに注力してください。また、昨年も世間を騒がせたコンプライアンス違反事例を他社のことと思わず、自ら発生させないことも重要です。今一度、原点に立ち戻り、安全、防災、コンプライアンスについて事故や違反を起こさないよう、決意を新たに気を引き締めて頂きたいと思います。

最後になりましたが、労働組合の皆さんに一言申し上げます。先ほど申し上げた通りのかつてない厳しい経営環境下で個々の経営課題に対応していくためには、労働組合の皆さんの今まで以上の協力が不可欠です。労使で十分に意思疎通を図り、全社一丸となってこの難局を乗り切るべく、ご協力をよろしくお願いいたします。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べました。本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶といたします。