経営者のご挨拶

(1月5日CEOは、社内およびグループ各社にあて以下のメッセージを発信致しました)

2009年 JFEスチール社長年頭あいさつ

厳しい経営環境の下でも
将来の成長に向けた活動を推進していこう

JFEスチール 取締役社長(CEO)
馬田 一 
JFEスチール 取締役社長 馬田 一

明けましておめでとうございます。新年に当たり、ご挨拶申し上げます。

昨年は、第二次中期計画の総仕上げの年として、全グループが一丸となり、目標達成に向け取り組みました。
 高級鋼製造設備の増強や、チャンピオン技術トランスファー活動による設備稼働率と品質の改善により、高級鋼の製造実力は大きく向上しました。
 また、CO2削減についても省エネルギー設備や京浜シャフト炉の稼働などにより、着実に進めることができました。

海外事業では、広州JFE鋼板で自動車用鋼板の本格的な生産を開始し、原料分野ではオルドスでの合金鉄事業の拡大や、ブラジルで鉄鉱石権益確保のための出資を行ないました。

第三次中期計画がスタート  -三つの重点課題

さて、これまでBRICsなど新興国に牽引され、世界経済は順調に成長してきましたが、米国発の金融危機により、昨年秋より急激に景気後退が進み、自動車産業をはじめとした私たちの主要需要家が大幅な減産を行なうなど、我々を取り巻く環境は過去経験したことのない厳しい状況に置かれています。鉄鋼需要も11月から激変し、今年1月からは30%を上回る減産が避けられない状況となり、1月中旬に倉敷の第三高炉の休止を決定しました。
 現時点では、景気回復の時期は不透明でありますが、中長期的にはBRICsを中心に世界の高級鋼市場が拡大していくという基本認識に変更はありません。
 このような事業環境の中で、今年2009年は、全社一丸となって難局に取り組むとともに、第三次中期計画の初年度として、将来の成長に向けた活動をスタートする年です。

以下、私が特に重要と考える課題について申し上げます。

一つ目の課題は、徹底した収益向上策を実施することです。
 販売面では、低迷するマーケットの下で、当社の優位性を活かした商品を新たな分野や地域に拡販していくことが必要です。このためには、生産・販売・技術開発が一体となり、顧客のニーズや状況を迅速に把握し品質・デリバリー・商品開発をこれまで以上にスピード感を持って強化し、お客様の満足度を向上させることが求められます。

また、製造現場では、ここ数年間、コストアップとなっても生産量の拡大に努めてきましたが、需要減退の中では受注状況に対応したフレキシブルな生産体制とコストミニマム操業に徹することが必要です。本社のスタッフ部門も、自部門のコスト削減に加えて、部門や製鉄所の枠を超えた全社的な観点から、製造現場の活動にアイデアを提供し、実行してください。また、昨年から全社で取り組んでいる「業務の再構築活動」を引き続き推進し、TV会議の活用などによる会議・報告の効率化を図るとともに、生み出された余裕時間については、改善活動や人材育成に取り組むなど、前向きな活用を考えていただきたいと思います。

二つ目の課題は、将来の成長のための取り組みについてです。
 既に意思決定した「スチール単体粗鋼3,300万t」への拡大については、再び世界経済が回復した時に、タイムリーに対応できるように、臨機応変に体制構築を進めてください。また「海外一貫製鉄所建設などグローバル展開」についても、中長期的に世界の高級鋼マーケットを捕捉するために必要なことと考えていますので、引き続き実現可能性の検討を行なうとともに、グローバル化に対応した人材育成を進めていきます。
 また、5年先、10年先においても、技術で世界をリードする存在であり続ける必要があります。これらの実現のためには、お客様のニーズを的確に捉えた商品開発、中長期を見据えたCO2削減技術開発、それらを支える人材育成や技能伝承を図ることが重要です。これらは、経済状況に関係なく実行すべき課題と考えています。各部門において今後3年間の具体的な課題・達成目標とスケジュールを明確にして実行に移してください。

三つ目の課題は、グループ会社の収益力向上です。
 国内グループ会社については、製造体質・収益基盤の強化が着実に進み、連結収益を支える「足腰の強いグループ会社群」が確立してきたと考えております。しかし、少子高齢化や人口減少などにより、純内需を主たるマーケットとする事業は今後ますます厳しい環境に置かれると思われ、更に一層の競争力強化が求められます。特に今後数年は、これまでにない厳しい経済状況が予想され、各社ともに徹底した収益向上策の実行が必要です。損益分岐点を引き下げるとともに、各社の持つ技術を活かした成長期待分野への取り組みなど、将来に向けた検討・準備を進めてください。

自分の役割を自覚し、業務に革新を

以上、本年の重点課題を申し上げましたが、これらを達成するためには、皆さん一人ひとりが自分の役割について自覚を持って業務を革新し続けることが重要です。生産性を高め、少数精鋭で業務を遂行していくことは厳しいことではありますが、原点に立ち返って足腰をしっかり固めてもらいたいと思います。特に管理者の皆さんには、これらの面でのリーダーシップを発揮されることを期待しています。

労使間の協力で経営課題に迅速に対応

ここで、労働組合の皆さんに一言申し上げます。

厳しい事業環境下にあって、これらの経営課題に迅速に対応していくためには、これまで以上に社内のコミュニケーションを密にし、全社員が課題や問題意識をできるだけ共有しながら、一丸となって取り組んでいくことが不可欠です。これには労働組合のご理解とご協力が重要と考えておりますので、本年もよろしくお願いします。

「安全」と「コンプライアンス」は企業活動を支える重要な要素

最後になりましたが、「安全」と「コンプライアンス」は企業活動を支えるもっとも重要な要素です。

安全成績については昨年は2年連続で改善し、JFE発足以来初めて重大災害ゼロを達成したことは安全の実力が着実に向上した結果だと思います。しかし、重大災害につながる災害が根絶されたわけではなく、現状レベルで安心できるものではありません。各社・各部門で地道に改善を積み重ね、今年こそ「安心して働ける職場」を実現したいと思います。

また、コンプライアンスについても、全社員が、社会的責任をしっかり踏まえた上で、繰り返し徹底していく必要があると考えています。

当社グループ全体が社会から信頼される存在であるために、守るべきルールを守り、一人ひとりが自覚を持って取り組んでいただきたいと思います。

以上、年頭にあたり、所信を申し述べましたが、本年が皆さんとご家族にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年のあいさつといたします。