
(1月4日CEOは、社内およびグループ各社にあて以下のメッセージを発信致しました)
将来の成長に向けて経営基盤のさらなる強化を

皆さん、明けましておめでとうございます。
本年、私たちJFEスチールグループは第一次中期計画を終え、あらたに第二次中期計画に着手いたします。
この重要な年のスタートにあたり、私の所信の一端を申し上げます。
当社2005年度の連結経常利益は、良好な経営環境にも恵まれ、第一次中期計画の目標を大幅に上回り、過去最高となる見通しです。中期計画の超過達成はJFEスチールグループの皆さん一人ひとりの努力なくしては成し得なかったことであり、私は皆さんとともにこの成果を喜びたいと思います。
しかしながらその一方で、私たちには昨年を振り返り、今一度思いを致さなければならないことがあります。それは、東日本製鉄所千葉地区における環境問題などにより、地域住民の皆様や自治体、そしてお客様にご迷惑とご心配をおかけし、これまで長年培った信頼関係を傷つけたということです。
社長就任時にも述べましたが、当社グループは環境保全・安全・防災・コンプライアンスという企業存立の基盤を強化していかねばなりません。このことは一朝一夕にできるものではなく、JFEの風土に根付くように、CSR、すなわち社会的責任を果たすべく地道に力を尽くしていくことが不可欠であります。
さて、我が国経済は、中国が牽引するアジア経済の好調に支えられ、堅調に推移しています。
しかし私たちが身を置く鉄鋼業においては、厳しい環境変化の兆しが現れております。特に中国では、生産能力の急拡大により、純輸入を続けてきた鋼板類も大幅な供給過剰となることが予想され、アジア地域全体へのさらなる影響が懸念されます。
またアジアの有力鉄鋼ミルは、良好な財務体質と収益向上を背景に、最新鋭設備の導入、技術提携・合弁等を急ピッチで進めており、技術・品質面での競争も今後ますます激化すると推測されます。
このようなことから本年は、真の競争力が問われる、より厳しい状況に直面すると考えられるのです。新たな環境の中で、私たちが取り組まなければならないのは、将来の成長のための「技術力・コスト競争力・人材育成」など経営基盤のさらなる強化です。将来にわたり競争力を維持・向上させるために、目先にとらわれず中長期的な視点に立ち、じっくりと計画的に取り組むことが、極めて重要と考えます。
それでは、以下に本年の重点課題を四点申し上げます。
まず第一の課題は、「高付加価値商品の開発とその拡販」であります。私は「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」という当社の企業理念に則り、社会やお客様にとり価値の高い商品、すなわち『高付加価値』商品を提供していくことが私たちの使命であると考えています。ここで言う『高付加価値』とは、商品の高機能性に限らず、品質や納期、商品開発力、お客様が抱える諸課題に対する提案力など、製造・研究開発・営業が一体となった総合的なものです。今年度中に完成予定の新統合システムを最大限有効活用し、販売・生産・流通を一貫管理することにより、さらなるリードタイム短縮や納期達成率向上に努めて欲しいと思います。
また、地球温暖化防止や循環型社会の実現に向けて、軽量化や高強度化など、鉄鋼製品に対する期待は年々高まっています。このようなニーズに応え、また先取りすべく、今後もオンリーワン・ナンバーワン商品・技術を創り出し続けなければなりません。
先ほども述べましたが、海外のミルは着実に技術力を向上させており、これまで日本ミルが圧倒的な優位性を誇っていた自動車用鋼板などの高級鋼材分野におきましても、急速に力をつけています。
私たちは常にお客様にとり魅力ある商品で世界をリードしていくのだという気概を持ち、5年先、10年先を見据えた技術開発・マーケティングに取り組んでまいりましょう。
第二点目の課題は、「製鉄所・製造所における競争力のさらなる強化」です。
製造業の収益の源泉は現場、すなわち製鉄所・製造所であります。この製造現場の競争力を世界最高レベルに強化させるためには、『設備の健全化』、『人材育成、技能伝承』、そして『不断のコスト削減努力』が必要です。
『設備の健全化』につきましては、当社の生産設備の中には経年劣化が進んでいるものもあり、適切な設備投資や効果的なメンテナンスなど、長期的な視点に立って強化していかなくてはなりません。
『人材育成、技能伝承』に関しては、現在第一線で働いている皆さんが、それぞれの技能を高め、次の世代に伝承していくことが最も大事だと思っています。このためにも、一人ひとりが仕事の基本プロセスを明確にし、そのノウハウを誰からも見えるものにしておくとともに、ベテラン層の高齢化・世代交代に対する具体的な対応の仕組みを構築する必要があります。
また、中国の供給能力拡大に伴い、大幅な供給過剰が予想されるため、『コスト競争力』は今後、最大のポイントになると思われます。各品種セクターで定めたコスト目標に向かい、製造現場と技術開発部門が一体となり努力を重ねてください。
続きまして第三点目の課題は、「海外事業への取り組み」についてです。
国内における経営基盤を強化するとともに、将来に向けた海外事業への取り組みがますます重要となっております。当社は、これまで信頼関係に基づく国際的な提携により、安定的に原料を調達し、製品を販売するという垂直分業を展開してまいりました。例えば原料分野におきましては、競争力ある鉱山への投資や、中国においての合金鉄製造に取り組み、また製品販売分野におきましては、中国市場における当社生産拠点として広州JFE鋼板を設立いたしました。激動する世界鉄鋼業の中で、絶えず情報の収集を怠らず時代の潮流を見定め、感度よくチャンスを捉えていきたいと考えています。
最後の第四点目の課題は、「グループ会社の収益基盤強化」についてです。昨年までに第一次中期計画の課題でありました「グループ会社の再編・統合」も、計画を上回る13分野で完了いたしました。また、各社で設定した経営目標も達成し、収益力は大幅に向上しております。これをより安定的なものにしていくために、収益基盤の強化に取り組んでいく必要があります。それぞれの会社がその役割に応じた中期課題を定め、連結収益力向上を目指して、グループ一丸となり取り組んでいきたいと考えます。
以上、本年の重点課題を申し上げましたが、私たちを取り巻く環境は想像を超えるスピードで変化しており、「変化への柔軟な対応」がますます重要となっています。これらの課題に取り組むにあたりましても、その時々の状況に応じて、原理原則に立ち返り、自分で考え、理に適った判断を常に心がけるようお願いしたいと思います。
次に、職場の安全について申し上げます。
安全の確保については、JFEスチール創立以来、「すべての災害は防ぐことが可能であり、断じて防がねばならない」を基本理念に、昨年は各職場において「双方向コミュニケーションの充実」および「一人ひとりの危険感受性の向上」を行動指針として積極的な安全活動を展開してまいりました。しかしながら、昨年は重大災害が5件発生し、誠に残念であると言わざるを得ません。安全に近道はなく、管理者の皆さんがそれぞれの立場で安全管理に力を尽くすとともに、現場第一線の皆さん一人ひとりが自覚を持って主体的に取り組むことが必要不可欠であります。今年こそぜひ、「災害“0”」を達成いたしましょう。
ここで労働組合に一言申し上げたいと思います。
先ほども申し上げましたとおり、製造業の原点は「現場」であり、生産現場の力は、会社の競争力の源泉であります。そして、この生産現場の声を代表する労働組合のご協力が、経営の改革・改善を進める上で極めて重要なものと考えております。本年も、労働組合とは諸課題の克服のために建設的な議論を交わし、お互いに切磋琢磨してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解とご協力をお願い申し上げます。
以上、年初にあたり所信の一端を申し上げました。本年が皆様とご家族にとり実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年のあいさつといたします。