NKK技報

LPGは環境負荷の少ないクリーンエネルギーであることから注目を浴びている。また，民間備蓄に加え，2010年までに150万トンの国家備蓄が予定されており，すでに備蓄基地の建設も行われている。このような事情を背景に，大型LPG船の建造量が増加している。LPG船のタンクおよび二次防壁用の鋼材としては，従来より低温用アルミキルド鋼が用いられてきたが，船体，タンクの大型化に伴い，より高強度化が求められるとともに，溶接施工の効率化の観点より大入熱溶接への対応が要求されている。
当社は加速冷却をはじめとするTMCP 技術のパイオニアとして，従来より，溶接性，溶接継手特性に優れた造船用高張力鋼板を実用化してきており，上述のようなニーズに対し，さらなる大入熱溶接特性の向上を図った高強度の低温用アルミキルド鋼板を開発した。
本稿では，このほど開発・実用化した高強度大入熱溶接用鋼を中心に，低温用アルミキルド鋼板の性能について紹介する。